今月のトピック バックナンバー

腹筋の話

8月になりました。ここの所、以前に比べると夏がとても熱くなってきていると感じます。これも地球温暖化のせいなのでしょうか?そんな暑い夏ですが、あっという間に過ぎてしまうので、しっかりと楽しみたいと思います。

さて今月のトピックは先月、年齢と筋肉について書きましたが、そこに関連して腹筋のお話をしたいと思います。

筋肉の成長と年齢

運動不足になってほとんどの方が気になるポイントとして、お腹周りを挙げています。弛んで、ブヨブヨになったお腹よりも引き締まったお腹は男性も女性も憧れますよね。お腹の筋肉をちゃんと理解して、正しくエクササイズをすれば憧れのお腹に近づくことができるはずです。そればかりか、日常生活においても腹筋は大きな役割を果たしています。腹筋の役割りもしっかりと理解をしていきましょう。

お腹の筋肉=腹筋

この定義は正しいのですが、腹筋にも実は種類があり、その働きもそれぞれ異なります。

腹筋の種類

  • 筋肉の名称:腹直筋(ふくちょくきん)

    【働き】腰の屈曲、腰の側屈

    お腹の表面にあり、脂肪が薄く筋量の多い人では、腱画により1枚の腹筋が割れているように見えます。

  • 筋肉の名称:外腹斜筋(がいふくしゃきん)、内腹斜筋(ないふくしゃきん)

    【働き】腰の屈曲、腰の側屈、腰の回旋

    腹斜筋は左右に分かれていて、身体を横に曲げる時と捻る動作で使われます。外腹斜筋は右に捻る時に左の筋肉が機能し、左に捻る時に右側が働きます。内腹斜筋は反対に右に捻る時に右側、左に捻る時に左側が働きます。

  • 筋肉の名称:腹横筋(ふくおうきん)

    【働き】腹壁を内側に押し込む(お腹を凹ませる)

    咳をするときや激しい運動時の呼気(息を吐き出す)時に働きます。腰の骨を安定させて正しい姿勢を維持したり、内臓を正しい位置に維持する役割もあります。

  • 筋肉の名称:骨盤底筋(こつばんていきん)

    【働き】内臓の支持

    腹筋とはやや異なりますが腹横筋とともに機能して排便排尿のコントロールや呼気や腹圧のコントロールをしています。

このように腹筋も数種類あり、それぞれ働きが異なります。それぞれがしっかり働くことで正しい姿勢の維持、腰痛の予防、内臓機能の低下予防、代謝の向上などが期待できます。そのためにも目的に合わせて正しいトレーニングをすることが大切です。

例として、腰痛改善を目的とした腹筋トレーニングで、仰向け姿勢から起き上がる一般的なエクササイズは大きな疑問を感じます。腰の骨を安定させるためには、腹横筋、腹斜筋が重要です。起き上がる動作ばかりを行っても改善する目的を果たすことはかなり難しいと思われます。ここでは呼吸によって腹横筋をコントロールし、常に腹横筋、腹斜筋を機能させるトレーニングをしなければなりません。反対に、お腹を割る事を目的とするのであれば、負荷を強くして筋肥大させなければなりません。さらに腹部の脂肪を燃焼させることも必要です。

また腹直筋を鍛えるトレーニングとして、傾斜を付けた腹筋台で勢いをつけて何度も起き上がる運動も大腿部、股関節の力を借りることが多くあまり効果的ではありません。ここでは腹直筋を縮め背中を丸くしていく動作が必要です。トレーニング時に目的以外の筋肉が多く利用されてしまう、代償運動が出ないようにすることが重要になります。代償運動が出ている状態では、本来トレーニングすべき筋肉の筋刺激が損なわれているため効果はあまり期待できません。トレーニングしているのに効果が出なかったり、本来の身体機能が失われ筋バランスが崩れたり、痛みを発症することも考えられます。

お腹のトレーニングはメディア、書籍でもたくさん紹介されていますが、自分のトレーニング目的と筋力に合わせ、正しい方法で行わなければなりません。紹介されているトレーニングを見た目だけではなく、その動きの意味にも注目して行なうことが重要です。

人間の腹部は格好の良いスタイルの目安でもありますが、姿勢維持、内臓機能向上、排便などの日常生活を快適に営む上でもとても重要なパートです。皆さんももう一度ご自分のお腹を鏡に映して、また自分の身体に問いかけてみて本来の腹筋の機能が損なわれていないか、確認してみてください。

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