今月のトピック バックナンバー

高齢者の体力

7月になりました。今年は梅雨が長そうで雨も多いようです。じめじめして過ごしにくい季節もあと少しの辛抱です。
さて今月のトピックですが、ここ最近とても多いのが高齢者の運転による事故のニュースです。アクセルとブレーキを踏み間違えたという事が言われていますが、実際はどういう状況なのでしょうか?高齢者の体力や認知機能などが大きく関係しているのは明らかではありますが、この検証をするのは今回のテーマではありません。車の運転以外からみた高齢者の特徴などを示しながら、今後さらに進んでいく超高齢者社会の問題などをお話しします。

今回は私も所属している健康運動指導士会の冊子を読んでいくつかの記事を抜粋しながらお話ししようと思います。

健康寿命の現状と課題

現代の日本に100歳を超える人は何人くらいいると思いますか?2016年のデータでは65,692人いるという報告が上がっています。
1963年には153人だったことを考えると非常に長寿の方が増えている事が解ります。日本人の寿命は毎年伸びているという事は明らかです。
ですがここで問題なのは寿命は延びてはいますが、健康寿命との差があるという事です。寿命というのは生命を維持している年齢のことを言います。一方、健康寿命は不自由な状況をなくして生きている年齢のことを指します。平成22年には平均寿命と健康寿命の差が男性で9.13年、女性で12.68年ありました。これは男女とも10年近くを不自由な状態で過ごしていることになります。理想は健康寿命を延ばし平均寿命にできるだけ近づける事であるといえます。

寿命と健康寿命

ところで話は少し変わりますが私の母は84歳になります。おかげさまでとても元気で大きな病気などもなく過ごしているのですが、最近少し気になることも増えてきました。まず歩く速度が非常に遅くなってきた事。そして買い物や散歩など歩行を伴うことを面倒くさがることが多くなりました。周囲の人にその話をすると仕方がないことだと言われます。年齢を考えたらよく動いているほうだとも言われます。今後を考えるとデイサービスにも通ってもらい、家以外の環境で人とコミュニケーションを図ることがとても重要な要素になると思います。ですが、デイサービスの利用には要介護、要支援の認定が必要になります。母は自分自身のことはすべてできます。お友達とお食事に行ったり、映画を観に行ったりもできます。介護・支援の認定はつくはずがありません。とするとデイサービスの利用はできません。残念でもあり心配でもあるのですが、ある意味幸せなことでだと自分に言い聞かせているのが現状です。

さて、では要支援の認定を受ける多くの方たちの原因は何でしょう?全体的にかなりのウェイトを占めているのが関節疾患、骨折、高齢による衰弱です。さらにそこから要介護に移る原因はここでも関節疾患、転倒による骨折は非常に多く、更に脳血管障害と認知症が多くなっています。

転倒や転倒による骨折は運動器の疾患(ロコモティブシンドローム)です。そこに連動してサルコペニア(筋肉量が減少して筋力低下や、身体機能低下をきたした状態)やフレイル(虚弱)の状態に陥り、閉じこもりがちになり脳血管疾患や認知症が引き起こされ、衰弱するという事が考えられます。動かないことで運動機能が低下し、骨粗鬆症、転倒、さらに骨盤底筋の低下により尿漏れなどの泌尿器疾患も問題になるといえます。

ここで重要になるのが運動機能向上です。そのために1日6,000歩から8,000歩が効果的だといわれています。要支援、要介護の状態を避け、健康寿命を長くするためにも、できる範囲の家事をこなし歩くことを嫌がらずに身体活動を実践していくことが重要になります。

高齢者の運動として歩行はとても良いワークアウトになる訳ですが、それを妨げるような事が高齢者には多くあるようです。なんと86.9%の高齢者の足に皮膚症状、87.5%に爪の症状があるといいます。確かに私のクライアントさんも巻き爪で足の親指が化膿してしまったこともあります。このような巻き爪や足の指が曲がってしまったことでシューズを履くことが痛みによりできない。歩くことができない。前述した以外にも様々な要因が絡み合って複雑な現状をつくりだしているようです。

身体の機能低下を防ぐため定期的な運動を心がけましょう。

日本はますます高齢者社会になります。平均寿命ではなく、支援をなしで生活できる健康寿命を延ばすことが重要です。そのためにはロコモシンドロームなどを予防しなければなりません。さらに閉じこもりにならないようなコミュニティーを確立もしなければなりません。そして今回気づかされた足育の問題もとても重要な要素になると思います。超高齢社会に向かっていくうえで真剣に考え今後の準備を私たちもしていかなければならない時代になってきたと思います。

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